ロング・リリイフ

遅い楽章ばかり集めて聴いている
シベリウスの針葉が柔らかい部分に刺さって
室内に人肌の液が垂れている
恋人に窓を閉めてもらうまで僕は
曇天の迷彩を飽きもせず眺めていた
いつも迷走する飛行機雲が空を切り取ってしまう
恐ろしく強い白が僕の
恋人の失意を表明していく